オ・ト・ナのうなぎ「初小川」 

私は子供の時からうなぎが大好きでした。ちょっとコ憎たらしい子供ですよね。しかし思い返してみると、その幼少期の私は、うなぎが好きだったのではなく、タレの味が好きだったんだと思うのです。あのこっくり甘い濃厚タレをご飯にたっぷりかけて食べる至福の時。うなぎが好きだと思い込んでいたけれど、それは勘違いで、ただのタレご飯好きだったのかもしれません。

そんな私も、やっとうなぎ本体の美味しさの解る大人になったんだなぁ、と思わせてくれたお店です。「初小川」は創業1907年。雷門通りを左に入った住宅街の中に店を構えるうなぎ屋さんです。外観からして風情漂うお店の中は、落語家や歌舞伎役者の紙札が壁や柱に貼られていて、これぞ浅草といった雰囲気。案内された席は真ん中の囲炉裏のあるテーブル。冬はお酒をお燗しながら飲めるんですって。粋ですねぇ。
店を切り盛りするのは、高校生の頃からお店に出ていたと言う3代目女将。串打ちから焼きまで一人で行っているため量産はできません。なので、お店は予約した方が安全です。
こちらで使用するうなぎは静岡産。生きたまま仕入れ、七輪の炭火でサッと焼いてからふっくらと蒸し、仕上げに芳ばしく焼き上げます。うなぎの大きさによって火加減や蒸し時間を調整しているとのこと。まさに職人技ですね。
うな重は小(1365円)、中(1785円)、上(2310円)の3種類。庶民の私は中をオーダーしましたが、別途注文の肝吸い(50円)を付けても2000円以下で美味しいうな重をいただけるなんて、このご時世に頭が下がります。
煮切りみりんと醤油のみで作るという辛口のタレ。ふっくらと柔らかいうなぎの風味を引き立てるキリッと引き締まったタレの味は、いかにも粋な江戸っ子好み。創業当時からの注ぎ足しだと言いますから、あっさりとしながらも何だか計り知れない深みみたいなものがあるのは納得です。固めに炊かれたご飯、ふっくらうなぎとの相性もバッチリ。しみじみ、うなぎって美味しい。

うなぎの味を堪能できる、粋なお江戸の辛口タレ。大人のあなたに。

初小川 うなぎ / 浅草駅(東武・都営・メトロ)田原町駅浅草駅(つくばEXP)

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TEXT: Kawori Nakagawa