デザートの美学。イデミスギノ

HIDEMI SUGINO@GINZA

「パンがないならケーキを食べればいいじゃない。」かの、マリー・アントワネットが残したといわれるお言葉です。その言葉よろしく、お菓子が主食の私。ケーキ屋さんに行くとなれば、それはランチ時。お昼ご飯変わりにいただくケーキは2~3個、まさに至福の時でございます。女子の皆さんには、この幸せを理解していただけるとは思いますが、連れが男性の場合、大概この「3度の食事を菓子で済ます」という行為は賛同を得ることができません。とりあえず男子は空腹をメシで満たしたい。食後のデザートに食べればいいじゃないか、と言われても、メシで満たされたお腹にケーキ2個はさすがにキツイっすわ。

そんな食後でも、軽く2個スイっと食べれちゃうケーキに出会いました。それは「イデミスギノ」のケーキ。
オーナーシェフは世界のトップパティシエが集まる「ルレ・デセール・インターナショナル」会員である杉野英実(ひでみ)氏。店名は、フランス語風にHを発音しないで「イデミ」と読みます。
1992年に神戸にて開業し、2002年に東京進出。京橋の警察博物館のそばの小さなお店は、連日行列の絶えない人気店です。

イデミスギノのケーキはムース状の軽い食感のものが多いのが特徴。ゼラチンの量をギリギリまで減らして作られるムースは非常に繊細で、移動による振動や熱に弱いため、ショーケースに並ぶケーキの約半分はイートイン限定とされています。
ケーキ屋さんにしては珍しい、窓のない奥まった店内のムーディーな照明の下でいただくケーキ。チョコレートとピスタチオのムース「アンブロワジー」、野イチゴとピスタチオのムース「マリエ」。どちらも非常に繊細で複雑な味を舌の上できらめかせ、儚く消えていく。たとえ2個平らげようが、決して胃腸に不快を与えることなく、食事の最後を美しいfin.で締め括るデザート。イデミスギノのケーキは、他のパティスリーには類を見ない、唯一無二のもの。弧高なるシェフの美学を感じ、スイーツとはどうあるべきか、考えてしまった私でした。

イデミ・スギノ ケーキ / 京橋駅宝町駅銀座一丁目駅

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TEXT: Kawori Nakagawa